上手な勉強法

効果的な勉強法を考える

 勉強はやっているが、やり方が悪いために成績が上がらないという生徒がいます。どのような勉強方法にすれば効果が出るのか、今回は「理解力の向上」と「勉強の効果」という点に分けて考えてみたいと思います。

解き方を他人に説明できるか(理解力の向上)

 例えば友達のA君とB君が一緒に勉強していて、A君が「これどうやって解くの?」とB君に質問するとしましょう。普通に考えれば、A君の方が解き方を教わるので学習効果がありそうに思えますが、意外にも、教えてあげたB君の方がより深く勉強になっているということがよくあります。
 A君がB君の説明を100%理解したとしても、まだB君の理解の深さには敵いません。それはまだ実際に自分の力で問題を解いていないからです。説明を聞いて分かるレベルと、実際に問題を解くことができるレベルの間には、けっこう大きな差があります。本当に自分だけで解ける力を身につけるためには、説明してもらった解き方を実際に問題に適用してみて、時には使い方を間違えたり試行錯誤をしながら、少しずつ吸収していくしかありません。
 一方B君は、A君に説明をするために、すでに理解しているはずの知識を頭の中でもう一度整理するので、知識がより強力に頭に定着します。また、曖昧なまま分かったつもりになっていた知識があれば、それに気付くことができ、後日改めて補強することができます。こうして、質問されたB君の方がより深く学ぶことになるのです。
 つまり、学習内容を深く理解するためには、「他人に説明できるかどうか」という視点を常に持って勉強することがとても重要だということです。

勉強の計画の立て方における3つのレベル(勉強の効果)

 上手に勉強するための大切なキーワードは「成長」です。成長には、

①今まで分からなかった問題が理解できるようになる。
②すでに解ける問題だが、今までより速く正確に解けるようになる。

という2種類があって、このどちらかが達成できて初めて勉強の効果が出てきます。

 これを踏まえて考えると、勉強の計画には以下のような3つのレベルがあることが分かります。

初級「○○時間勉強しよう」
→これは多くの生徒が実際にやっている勉強法ではないでしょうか。長時間勉強すればそれだけ達成感はあります。しかし、長時間やったからといって、必ずしも内容が充実しているとは限りません。短時間でも中身の濃い勉強ができればそれでいいのです。つまり、時間で区切る方法は合理的なようで実はあまり意味のないやり方だと言えます。

中級「○○ページ終わるまで勉強しよう」
→時間ではなく量で区切るやり方です。これなら計画した分量を確実に終えることができます。予定の内容が終われば勉強も終了していいので、集中して早く終わらせることも可能です。その代わり、終わらなければ何時間でもやらなければいけません。問題の難易度や量などをよく考えて、現実的な課題を設定する必要があります。
  この方法は、時間で区切る方法よりずっと効果が期待できます。ただ、完璧という訳ではありません。課題の選び方によっては、特に得るもの(成長)がないまま終わってしまう恐れがあるからです。

上級「何かしら『成長』したら終わりにしよう」
→時間でも量でもなく、1つでも「成長」するまで勉強するという方法です。例えば、「知らなかった単語を新しく覚えたら終了」とか、「前より速く計算ができるようになったら終了」とか、「曖昧だった知識を調べ直して、自分の言葉で説明できるようになったら終了」などのように課題を設定し、「今日は新しく○○を覚えた」「今日は○○ができるようになった」と成果を実感できるまで勉強をするということです。

上手な勉強方法

では、具体例を挙げて勉強方法を検証してみましょう。

× 暗記のために、まとめのページやプリントをただ眺めている。
○ まず問題を解いて、覚えている部分と覚えていない部分を把握し、覚えていない部分を集中的に暗記して、再び問題を解いてみる。これの繰り返し。
→何時間やったとか、何ページやったとかではなく、「覚えられたかどうか」だけをシンプルに追求します。そのためには問題を解いてみて確認するしかありません。

× 正解できそうな簡単な問題ばかり選んで解いている。
○ 今の実力より少し上のレベルの問題に挑戦してみる。
→解ける問題ばかりやるのは気分はいいですが、勉強の前からすでに解けるレベルの問題をやっても成長はあまりありません。(ただし、速度や精度を上げるための勉強なら効果はあります)

× テストの得点だけに一喜一憂し、テストまでは勉強するが、終わると関心がなくなる。
○ テストでできなかった問題を復習する。例えば得点が80点ならば、不正解だった20点分の方に注目する。
→できなかった部分を勉強してできるようになることがまさに成長なので、テストの不正解問題は、効果的な勉強のためには格好の題材です。

 いかがでしょうか。今までなかなか勉強が上手くいかなかったという人は、今回説明した「理解力の向上」と「勉強の効果」ということを意識して勉強してみるといいと思います。